夫の実家に逃げ込んだ次の日は、夫の兄の法事でした。
夫の両親と、夫の妹2人と、夫の弟夫婦が集まりました。
私と夫が入籍したのが1月。弟夫婦は3月。
どちらも新婚なのです。
それなのに、夫が来てくれなくて私一人で出ることになって
とても淋しいと思いました。
二人仲良く並んで出たかったなぁ、と思って
仲の良い弟夫婦を見ながら、涙がこぼれそうになりました。
弟のお嫁さんは、私から見たら年も若いし
とっても可愛い女の子で、2人の妹と合わせて
可愛くってたまらない存在です。
妹2人には、前の晩に逃げ込んだから「兄ちゃんと姉ちゃんが
喧嘩したらしい」ということは分かってしまっています。
でも、弟夫婦とは次の日に合流したので
「私の夫は風邪で来られなかった」ということにしておきました。
本当は、2人の妹にも、夫の借金のことや暴力のことは
絶対に知られたくないと思っていました。
だから、夫のお母さんに「何かあったらうちに逃げて来なさい」と
今までいくら言われても、夫の実家に逃げ込むことには
ためらいがあったのです。
でも、とうとうこの時はたまらずに逃げ込んでしまったのです。
この上、弟夫婦にまで気付かれたら大変、と思いました。
弟や妹達は、夫のお父さんが再婚してから生まれたので
夫とも10歳以上年が離れていて
夫は、みんなにとって、優しくて頼りになるお兄ちゃんなのです。
その夢を、私が壊したらいけない、という
そのことばかりで心が一杯になりました。
弟のお嫁さんが、私と主人の馴れ初めを尋ねてきました。
「どっちが先に好きになったんですか?
私達は、私の方が先だったんですけど……」と笑っていました。
私は答えました。
「私の方が先に好きになって
どこに行くにもあとをくっついて行ったの。
でも、向こうは『俺の方が先だった』って言い張ってるのよ」と。
すると、弟のお嫁さんは笑いながら
「やだぁ、それって『のろけ』ってやつじゃないですかぁ」と言って
私をつついてきました。
私は、前の日にあんなにひどい暴力を受けたのに
離れているとやっぱり淋しいんだなぁ、好きなんだなぁ、と
しみじみ思いました。
「どうして一緒に来てくれなかったの?」
「どうして傍にいてくれないの?」と
夫のことが恨めしくなりました。
暴力を振るうことが恨めしいんじゃないのです。
そんなことよりも、一緒にいてくれないことが恨めしいのです。
いつだって一緒にいたいのに。
一緒にいられなくしたのはあなた(夫)じゃいない!
逃げなきゃならなくしたのはあなたじゃない!
そう思って、淋しくなりました。
お父さんもお母さんも、そんな私に気を遣って
とても優しくしてくれます。
近いうちに夫と話をしてくれる、とも言いました。
結婚生活というのは、お互いに協力してやっていくもので
旦那さんが取ったお給料を全く家に入れない、というのは
いくらなんでもひどいよ、と言ってくれて
そのことも息子に言って聞かせる、と言ってくれました。
2人の妹も、とっても可愛いのです。
弟も弟のお嫁さんも、見ていて本当に気持ちのいいカップルで
「こんないい人たちに囲まれて育った夫が悪い人の訳がない」
−−そう思った私は、急に家に帰って夫に逢いたくなりました。
でも、夫は怒っているし、帰ってまた殴られるのは嫌だし……
私は迷いました。
でも、思い切って「なんだかあなたに逢いたくなってしまったので
これから取り敢えず家に帰ってもいいですか?」と
ショートメールを打ったら、一言
「了解!」と返事が来たので
取り敢えず、家に帰ることにしました。
お母さんとお父さんは「何日かいてもいいんだよ」と
言ってくれていたのですが
そんなに甘えていては悪いかなぁ、という思いもあり
また、夫に一昼夜逢っていないから恋しくなってしまったこともあり
「やっぱり帰ります」と言いました。
夫のお母さんは、そんな私がすんなりと帰りやすいようにと
駅まで送ってくれて、夫の好きなおかずを山ほど買ってくれました。
とってもありがたいと思いました。
おかずを抱えて家に帰ろうとしたら、夫からショートメールで
「帰りに猫のごはん買って来て」と入ったので
「あ、あんまり怒っていないんだな」と安心しました。
家に帰ると、テーブルの上に、プリンの空いたカップが
山積みになっていました。
夫は、私をボコボコにし終わって出て行った後
暴力を振るったことを悪かったと思ったらしく
私と一緒に食べようと思ってプリンを買って来てくれたそうです。
でも、私は家を出てしまって帰って来ないし
電話を掛けても通じないし、挙げ句に実家に逃げてるし
やけになってプリンを全部食べてしまったそうです。
夫は、帰って来た私に「ごめんね。もうしない、って言ったのに」と
すまなそうに謝りました。
夫の顔を見て安心し切って私の緊張が解けたのか
急に前日にやられた体の怪我が凄まじく痛み出しました。
それまでは、やはり夫の実家に多少なりとも
気を遣っていたのでしょう。
それが、家に帰って来て、夫の腕の中に戻った途端
気も狂わんばかりに体中の傷が痛みだしたのです。
私は、あまりの痛みにパニックになって
過換気症候群の発作が起きそうになりました。
いつもなら、発作に突入してしまうところなのですが
その日はたまたま病院から貰っていた精神安定剤があったので
それを急いで飲んだら、発作は起きずにすみました。
どうして、暴力を振るった張本人の元へ舞い戻って
夫についていてもらうと安心して気が弛んだり
「傍についていてね」と言ってしまったりするのか
自分でも不思議でなりませんでした。

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