記憶障害
2001年9月6日夫からの暴力がひどくなってから出始めた症状に
「記憶障害」があります。
自分でも、今 考えると不思議なくらいなのですが
色々なことを本当にすっぽりと忘れてしまうようになりました。
例えば、夫に殴られて蹴られて、息も絶え絶えになっていたのに
一度 意識がなくなってから目覚めると
夫に暴力を受けたことそのものを忘れてしまっているのです。
「どうしてこんなに体中が痛いんだろう?」
「どうして夫がいないんだろう?」
(実は、殴り終わって家を出て行った)
「なんで吐いたものに血が混じっているんだろう?」
(お腹をエレキギターで殴られた)
……など、怖かったことをすっかり忘れてしまっていたのです。
後になって、そのことを話したりすると少しずつ思い出すのですが
直後は何も覚えていなかったりしました。
私の夫は、とても優しそうな顔をしています。
しかも、私が言うのも何ですが結構ハンサムな部類です。
だけど、怒る時、キレる時、暴力を振るう時は
とても怖い顔になって、顔つきが普通ではなくなってしまうのです。
「私さえ(怖かったことを)全て忘れてしまえば
何ごともなかったように、また夫と楽しく暮らせる」と
無意識の内に思っていたのかも知れません。
私を大切に思ってくれている優しい夫と
私に暴力を振るう怖い夫とを
頭の中に同時に置いておくことが出来なくなってしまったのでしょう。
それで、自分にとって都合の悪い方を
記憶の中から無意識に「消去」してしまっていたのだと思います。
「怖い思いをした時には、そういうことは良くあるんですよ。
無意識の内の自己防衛本能のなせるわざだから、異常ではないよ」と
何人の方から言って頂きました。
私も、それはそういうことだったんだなぁ、と思っています。
でも、夫はそうは思ってくれませんでした。
私の記憶障害で一番 傷ついてしまったのは、夫なのかも知れません。
夫は、初めは「俺が頭を殴ったから、そのショックで
記憶がなくなったのかも」と思ったようでした。
早速 病院に行ってCTを撮ってもらいましたが
特に異常はないと言われました。
その時は「自動ドアにぶつかった」と嘘を言って診察を受けたので
お医者様も心因性の要因には触れなかったのです。
初めに記憶が途切れ始めたのは、去年の9月の終わりでした。
それから、たびたび記憶が途切れるようになり
そのほかにも、自分でも怖いくらい物忘れがひどくなりました。
でも、パートの仕事に通っている時などは
仕事のことは別に忘れたりもせず、それなりにこなしていました。
だから、やはり夫に関することを、主に忘れてしまっていたようです。
夫は傷付いていました。
「お前は、俺のことが嫌いになって、それで俺のことを
忘れたがっているから忘れてしまうんだ」と言いながら
辛そうにしていました。
でも、違うのです。
私が忘れたかったのは(もし忘れたいことがあったのだとしたら)
それは「夫の存在そのもの」ではないのです。
「怖い夫」「暴力を振るう夫」「怖い目に遭ったこと」「恐怖心」
−−そういうものを心の中に押し込めて
或いは頭の中から「消去」していたのでしょう。
例えば、こんなことがありました。
夫は、今年の初めに転職をしてから、仕事がものすごく忙しくて
会社に泊まり込みで徹夜で仕事をしなければならないことが
時々ありました。
ある朝、私は夫とちょっとした口喧嘩になって
夫に大きな声で怒鳴られたので、怖くなってしまい
実際に仕事に行く時間よりもかなり早めに家を出たことがありました。
いつもは一緒に家を出て、途中まで一緒に出勤していたのに
その日は私 一人だったのです。
私は、駅の階段でちょっと転んでしまいました。
いつもなら(夫が一緒なら)「馬鹿だなぁ」と言いながら
助け起こしてくれるはずなのに
その日は、たまたま通りかかった知らないおじさんが
「大丈夫? 怪我はない?」と親切に声を掛けてくれました。
(ちょっと恥ずかしかったけど)
だけど、私は困った時や落ち込んだ時や、何かあった時には
いつも夫に頼ってしまうので
「ちぇ。夫が一緒なら、手を引っ張って助けてくれたのに」と
その時も思ってしまったのです。
自分が勝手に一人で早く出て来てしまったくせに
そんなことは忘れてしまっていたのです。
ただ「なんで一緒にいてくれないの?」という思いで
一杯になっていました。
会社のある駅に着いてから、夫にメールを送りました。
《昨日は徹夜だったの? それとも仮眠くらいはとれたのかしら?
お薬は飲みましたか? あんまり無理しないでね》
夫から怒りの電話が入ったのは、それから間もなくでした。
「あのメールは一体 何なんだ? 馬鹿にしてるのか?」
私は、何を怒られているのかさっぱり分からず
ただおろおろするばかりでした。
後になってから夫と話をして、漸く自分の間違いに気付きました。
でもその時は、1時間前に喧嘩をして怖かったことを
すっかり忘れてしまっていて
そんなすっとぼけたようなメールを出してしまったのです。
夫は激怒していました。そして傷付いていました。
「お前は俺が嫌いなんだ」「嫌いだから忘れるんだ」
「俺なんかいない方がいいんだろ?」「いない方がいいんだろ?」
そんなことない、と 何度 言っても、夫は怒っていました。
今 考えたら、怒るのも最もです。
ちょっと前に喧嘩したことも忘れてしまうのですから。
自分の存在そのものを否定されたと思ってしまうのも無理ないのです。
そして、ついに私の「記憶障害」に対して
夫の怒りが爆発してしまう日がやって来ました。
「記憶障害」があります。
自分でも、今 考えると不思議なくらいなのですが
色々なことを本当にすっぽりと忘れてしまうようになりました。
例えば、夫に殴られて蹴られて、息も絶え絶えになっていたのに
一度 意識がなくなってから目覚めると
夫に暴力を受けたことそのものを忘れてしまっているのです。
「どうしてこんなに体中が痛いんだろう?」
「どうして夫がいないんだろう?」
(実は、殴り終わって家を出て行った)
「なんで吐いたものに血が混じっているんだろう?」
(お腹をエレキギターで殴られた)
……など、怖かったことをすっかり忘れてしまっていたのです。
後になって、そのことを話したりすると少しずつ思い出すのですが
直後は何も覚えていなかったりしました。
私の夫は、とても優しそうな顔をしています。
しかも、私が言うのも何ですが結構ハンサムな部類です。
だけど、怒る時、キレる時、暴力を振るう時は
とても怖い顔になって、顔つきが普通ではなくなってしまうのです。
「私さえ(怖かったことを)全て忘れてしまえば
何ごともなかったように、また夫と楽しく暮らせる」と
無意識の内に思っていたのかも知れません。
私を大切に思ってくれている優しい夫と
私に暴力を振るう怖い夫とを
頭の中に同時に置いておくことが出来なくなってしまったのでしょう。
それで、自分にとって都合の悪い方を
記憶の中から無意識に「消去」してしまっていたのだと思います。
「怖い思いをした時には、そういうことは良くあるんですよ。
無意識の内の自己防衛本能のなせるわざだから、異常ではないよ」と
何人の方から言って頂きました。
私も、それはそういうことだったんだなぁ、と思っています。
でも、夫はそうは思ってくれませんでした。
私の記憶障害で一番 傷ついてしまったのは、夫なのかも知れません。
夫は、初めは「俺が頭を殴ったから、そのショックで
記憶がなくなったのかも」と思ったようでした。
早速 病院に行ってCTを撮ってもらいましたが
特に異常はないと言われました。
その時は「自動ドアにぶつかった」と嘘を言って診察を受けたので
お医者様も心因性の要因には触れなかったのです。
初めに記憶が途切れ始めたのは、去年の9月の終わりでした。
それから、たびたび記憶が途切れるようになり
そのほかにも、自分でも怖いくらい物忘れがひどくなりました。
でも、パートの仕事に通っている時などは
仕事のことは別に忘れたりもせず、それなりにこなしていました。
だから、やはり夫に関することを、主に忘れてしまっていたようです。
夫は傷付いていました。
「お前は、俺のことが嫌いになって、それで俺のことを
忘れたがっているから忘れてしまうんだ」と言いながら
辛そうにしていました。
でも、違うのです。
私が忘れたかったのは(もし忘れたいことがあったのだとしたら)
それは「夫の存在そのもの」ではないのです。
「怖い夫」「暴力を振るう夫」「怖い目に遭ったこと」「恐怖心」
−−そういうものを心の中に押し込めて
或いは頭の中から「消去」していたのでしょう。
例えば、こんなことがありました。
夫は、今年の初めに転職をしてから、仕事がものすごく忙しくて
会社に泊まり込みで徹夜で仕事をしなければならないことが
時々ありました。
ある朝、私は夫とちょっとした口喧嘩になって
夫に大きな声で怒鳴られたので、怖くなってしまい
実際に仕事に行く時間よりもかなり早めに家を出たことがありました。
いつもは一緒に家を出て、途中まで一緒に出勤していたのに
その日は私 一人だったのです。
私は、駅の階段でちょっと転んでしまいました。
いつもなら(夫が一緒なら)「馬鹿だなぁ」と言いながら
助け起こしてくれるはずなのに
その日は、たまたま通りかかった知らないおじさんが
「大丈夫? 怪我はない?」と親切に声を掛けてくれました。
(ちょっと恥ずかしかったけど)
だけど、私は困った時や落ち込んだ時や、何かあった時には
いつも夫に頼ってしまうので
「ちぇ。夫が一緒なら、手を引っ張って助けてくれたのに」と
その時も思ってしまったのです。
自分が勝手に一人で早く出て来てしまったくせに
そんなことは忘れてしまっていたのです。
ただ「なんで一緒にいてくれないの?」という思いで
一杯になっていました。
会社のある駅に着いてから、夫にメールを送りました。
《昨日は徹夜だったの? それとも仮眠くらいはとれたのかしら?
お薬は飲みましたか? あんまり無理しないでね》
夫から怒りの電話が入ったのは、それから間もなくでした。
「あのメールは一体 何なんだ? 馬鹿にしてるのか?」
私は、何を怒られているのかさっぱり分からず
ただおろおろするばかりでした。
後になってから夫と話をして、漸く自分の間違いに気付きました。
でもその時は、1時間前に喧嘩をして怖かったことを
すっかり忘れてしまっていて
そんなすっとぼけたようなメールを出してしまったのです。
夫は激怒していました。そして傷付いていました。
「お前は俺が嫌いなんだ」「嫌いだから忘れるんだ」
「俺なんかいない方がいいんだろ?」「いない方がいいんだろ?」
そんなことない、と 何度 言っても、夫は怒っていました。
今 考えたら、怒るのも最もです。
ちょっと前に喧嘩したことも忘れてしまうのですから。
自分の存在そのものを否定されたと思ってしまうのも無理ないのです。
そして、ついに私の「記憶障害」に対して
夫の怒りが爆発してしまう日がやって来ました。
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